展覧会

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琳派から日本画へ ― 宗達・抱一・御舟・観山 ―

伝俵屋宗達 槙楓図

会 期 : 2008年11月8日(土)~12月25日(木)
休館日 : 月曜日 〔但し、11/24(月・祝)は開館、翌火曜日は休館〕
出品作品: 俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書)《新古今集鹿下絵和歌巻断簡》、
酒井抱一《飛雪白鷺》、鈴木其一《四季花鳥図》、
下村観山《老松白藤》、前田青邨《大物浦(だいもつのうら)》、
速水御舟《名樹散椿(めいじゅちりつばき)》(重要文化財)、
奥村土牛《犢(こうし)》、福田平八郎《彩秋》、
東山魁夷《満ち来る潮》(幅9mを超える大壁画)
ほか約40点

近年、「琳派(りんぱ)」に関連した展覧会が各地で開催され、日本美術を代表する芸術として一般にも広く知られ、親しまれるようになりました。その絢爛豪華な様式美、斬新な意匠美、そしておおらかな水墨画は多くの鑑賞者を惹きつけています。

鈴木其一 四季花鳥図

「琳派」は、17世紀の俵屋宗達(たわらやそうたつ)、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)にはじまり、やがて尾形光琳(おがたこうりん)や乾山(けんざん)へ、そして、江戸後期には酒井抱一(さかいほういつ)、鈴木其一(すずききいつ)らが先達の技法を倣う「私淑」という形で受け継がれてきました。20世紀に入って、宗達の再発見と研究の深化により、さらに高く評価されるようになりました。明治、大正、昭和の何度かのブームを経た後、1970年代以降に光琳の「琳」を冠した「琳派」という名称が一般的に定着しました。

速水御舟 名樹散椿

琳派の作風や画法は、近代の研究熱心な画家たちに多くの影響を与えています。今回出品される下村観山(しもむらかんざん)《老松白藤》、速水御舟(はやみぎょしゅう)《名樹散椿》の華麗で装飾的な作風の屏風は鈴木其一《四季花鳥図》に通じるものがあり、前田青邨(まえだせいそん)《蓮台寺の松陰》、奥村土牛(おくむらとぎゅう)《犢》などに見られる「たらし込み」の技法は、琳派の画家たちが好んで使用した、宗達が創案した水墨画の技法です。このように、近代の画家が琳派をどのように作品に活かしているか、という視点で鑑賞するのも楽しいでしょう。本展では、脈々と続く日本画の伝統の中に見出される美を堪能していただけたら幸いです。

奥村土牛 犢(こうし)